電気じかけの予言者

きみがここに来ることを、ぼくは知っていた。

今と未来、どっちが大切?『タイムボックス』(アンドリ・S.マグナソン (著), 野沢 佳織 (翻訳))を読む。

イチオシ!

若生悠矢@spectiveprophetです。

今と未来、どっちが大切?

私は「今」が大切だ。 と、頭では分かっているけれど、心では「未来」が大切だと思ってしまっている。

タイムボックス

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人生は時間の奴隷

時間を意識すると、時間を意識している時間で時間を消費することになる。 「今」を意識すればするほど、明日よくなっているといいな、将来こうなっているといいな、と、「未来」に逃げてしまう自分がいる。

だからこそ現実の私は、心が平静な間に「今」を大切にする術を身につけておきたいと考え生活している。

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私たちは良い時代に生きているか?

紛争や飢餓などの問題のある地域に生まれてしまう可能性を考えると簡単には言えないのだが、「良い時代に生きたい」と望んだだけで良い時代に生きられる人など絶対に居ない。生きた時代が良い時代かどうかは、運命的かつ個人的な問題だからだ。

物語の向こうに時代が見える

人生の苦難を避けて生き続けることは可能か?

戦争や災害、病気、老い、死などの大きな苦難、嫌な日、怪我、失恋、他者の死、他人のイライラなどの小さな苦難、このようなことを避けて生き続けることは可能だろうか。 答えは、ほぼ可能だ。 大きな苦難は自分の意志で避けることはできないが、小さな苦難は避けることができる。自分を世間や他者から断絶すれば良い。実際にそれに近いことを実践する人は存在する。 しかしそれは、自分を最大限概念化していかないと、実践は不可能だ。例えば「雨の日に家でゲームをする」、「恋人とのデート」、「スポーツを楽しむ」など具体的なことで生きていこうと思ったら、小さな苦難を避けることはできない。小さな苦難は、小さな幸せと共存することだからである。

僕はなぜ小屋で暮らすようになったか 生と死と哲学を巡って (DOBOOKS)

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「個人」で「今」をより良く生きることが人生の醍醐味

私は小さな幸せを求めているがために、どんなことがあっても世間と断絶することができないでいる。 その一方で、もう隠居したいと思うことがあるのも確かである。このような小さな苦難があるから、小さな幸せが素晴らしいものだと感じることができるのだ。 でもそれは絶えず「今」を生きたいということの現れだと私は思っている。「今」をより良くいきようとすることこそが人生の醍醐味だ。

良き人生について―ローマの哲人に学ぶ生き方の知恵

【ネタバレあり】人生の経験と老いを失うお姫様の物語『タイムボックス』

とある国の暴君が、娘である姫をあらゆる困難から避けて生きられるように、「魔法の箱」を使い、姫にとって素晴らしい日のみ時間を消費できるようにした。その「素晴らしい日」とは、王を含めた家来達が決めるのだが、今日は素晴らしい日かどうかを毎日議論して決めていくのだ。例えばそれが誕生日だけしかないと、10年で10日しか消費されない、という仕組みである。このため、「老い」からも逃れることができるのだ。 姫は時間が止まっている間の記憶が全くない。そのため段々その状況が受け入れられずに病んでくる。城の中に囚われている姫、さらに時間にさえも囚われる姫。空白の日記に「昼 夜」とひたすら書いていく様は痛々しい。 いつの日か姫はある少年と出会う。その少年も徐々に姫の年齢を追い越していくのだが、その少年を通じて、自分の時間が止まっている間に何が起こっているのかを知り、現実を取り戻したいと考えるようになる。

内容に関してはこの辺にして、『タイムボックス』は平易なファンタジー小説で、大人も子どもも楽しめる物語です。 伏線もしっかり回収されていて読後感が良く、誰かに話したくなる作品だと思います。

(終わり)

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